売れるアイドルの作り方を特別に教えよう。

僕は今まで、地方に住みながら、paletを中心に多くのアイドルイベントに参加してきた。おそらく僕が住んでいる地方レベルで、ここまで都内の地下アイドルのイベントに参加している人間は日本全国探してもどこにもいないと思う。一人のヲタとしてアイドルのイベントを純粋に楽しむ一方で、アイドルの運営方法、ヲタの生態に関しても興味を持って観察してきた。これから紹介する5つの項目はアイドル運営の基礎であり、これを押さえれば一応アイドルとしてのスタートラインに立てたと思ってもよい大切なポイントである。この記事がアイドル運営に苦しむ人のヒントになってくれると嬉しい。

・選択肢の豊富さ

アイドルを運営していくにあたって最も重要となるものは、そのグループの構成メンバーであり、運営側としては、メンバー選考は命を掛けるつもりで行わなければならない。このメンバー選考が、そのグループの今後を占うといっても過言ではないわけである。さて、この選考時に注意すべきポイントだが、私はメンバーの「選択肢の多さ」を意識してほしいと考えている。選択肢の多さとは、具体的に言うとルックスと性格の選択肢の多さのことである。アイドルヲタはライブが大好きだが、基本的にはヲタ・アイドルともに一体となってリズムに合わせて大声を出しつつ、目の前でかわいい女の子が一生懸命踊っていればそれで満足なのである。そこに「歌唱力やダンスのレベル」を求めるヲタはあんまり居ないというのが現状なわけである。なので、メンバー選考時には歌唱力やダンスのレベルは基本的には見なくても良い。これらは加入後にレッスンで鍛えていけば良い。一方、加入後にレッスンで鍛えられない「ルックスや性格」については神経を尖らせて精査し、メンバー選考をしてほしいところである。前述のように、ライブである程度可愛い子が踊っているということはヲタ達にとってはもはや前提となっているものであり、一般的に考えても分かるとは思うが、ブスが踊っているのを見に来る人は基本的には居ない。生歌でパフォーマンスしなくてもルックスさえ揃えれば売れるということを証明してくれた乃木〇46の前例があるように、やはりファンの99%が人間である以上、ルックスがある程度そのグループの人気を左右するといって良いだろう。しかし、単にルックスの良いメンバーを集めただけでは面白くない。ここで大切なことはルックスは良いんだけれども、違う種類の顔を集めるということである。(言い方は悪いけれども)最近流行りの女子大生的な顔は可愛いけれども、全員がそんなルックスであるとグル―プ全体で顔の均一化が起きてしまい、個々人のレベルの高さが薄れてしまいがちである。しかも、皆同じような顔だと、ヲタ側としても推しを選ぶことが出来ないという状況に陥ってしまう。だからこそ違う顔を揃えることが重要なのである。人の顔の好みというのは十人十色であるから、様々なタイプを揃え、選択肢を多くしておいた方がより多くのヲタを集めることが出来る。もう顔についてだけで疲れてきてしまったので、性格に関しては割愛させて頂くが、結局は今まで言ったことと同じで、選択肢を増やしておけばそれだけヲタを集める機会が増えるよということである。そういう意味ではメンバーの数もある程度は多い方がいいと思う。最低でも6、7人くらいは欲しいところである。(よっぽど強烈な個性のメンバーを集められたら4、5人くらいでもいいと思うけれども)一時代を築いた48グループはこの選択肢の多さを有効活用し、多くの人々の注目を集めたのではないかと、僕は考えている。

 

・CD商法の確立

 もはや、新しいCDを販売するにあたって、CDを様々なタイプ別に分けて特典をつけて、その特典目当てにCDを購入させる方法はアイドル業界では基本的な販売方法として確立されてきた。中にはそれだけではなく、CDの発売日前からリリースイベントと称してイベントをどんどん連発し、そのイベントのたびに握手会やチェキ会等の特典会を行い、CDの売上に繋げているアイドルも増えてきている。もはやこれは項目にするべきものでも無いとは思ったのだが、これはアイドル運営においては基本中の基本であり、やった方が良いというより、やらなければいけないことである。CDの売上がオリコンという形でランキングに反映される音楽業界では、CDを売り上げて上位に食い込まないと、様々なメディアで取り上げてもらえない。アイドル戦国時代と呼ばれた時代はとうの昔に終わってしまったけれども、まだまだアイドルがV系のバンド並みに存在する昨今では、やはり頭一つ抜けるにはオリコンで上位に食い込むことが一番手っ取り早い方法である。それで、某音楽番組何かに出演すれば、たちまちネットのさまざまなメディアを通して話題が広まっていく。さらに、CDを売上げると同時にヲタとの接触を増やすという点でも、CD商法は行った方が良い。純粋なオタは握手というたった数秒間の接触のために何万とお金をつぎ込んでいく。しかも、驚くべきことに機会があればあるだけお金を投資していくのである。このプロセスでは、ヲタにはお金を払って接触をしているという意識が完全に削がれている。まるでお金をゲーセンのコインのごとく消費していくその姿は価値交換の仲介物であるお金本来の意味を肌で感じとることが出来る貴重な学習の機会ともなっている。話は逸れたが、接触を減らすことは利益捻出の機会損失であるから、それは避けた方がよい。ヲタはイベントの数だけお金を使っていく。イベントの数は多ければ多いほど良いと考えて全然オーケーだと僕は思う。

・ファンへの従順さ

 今まで様々なアイドルのイベントに行ってきたけれども、基本的にアイドルヲタクは、現実世界では彼女が居ないような気持ち悪い人間であるという点は、どのグループの現場に行っても変わらない共通事項であった。基本的に若いヲタクは、異性に対する意識が高い時期にも関わらず、自分のキモさ故にリアルで全く彼女が作れないことに対するジレンマの解消としてアイドルを追いかけているようにしか見えない。女の子に対して可愛いと言いたい、けれども現実でそんなこと言ったら周りにキモがられて終わるし、ましてや彼女なんて出来ない、でもアイドルに対してだったら…!とそんな感じの若者が多いように感じる。アイドルの凄いところは、いくらキモイ人間に対してでも笑顔で握手してくれるし、チェキを一緒に撮ってくれるし、感謝してくれるし、どこまでも従順でいてくれることである。今まで彼女が出来たこともなくて、彼女が出来れば一生幸せにするんだみたいなことを考えている勘違いヲタは自分に対して優しくしてくれるアイドルにどんどんのめり込んでいってしまうのである。日常で溜まっている女性に対するストレスを全てアイドルに対してぶつけているような状況である。余りにも自分に対して優しくしてくれるもんだから、所謂ガチ恋と呼ばれる、アイドルに対して恋をしてしまう若者も多い。(※2015年10月現在僕は実際にそうなっています)その一方でおっさんのヲタというのは、アイドルをもはや自分の娘のように見ている。現場に行ったことのある人ならご存知かとは思うが、おっさんのアイドルヲタに子持ちのようなリア充な人は殆ど居ない。基本的にはハゲデブであり、その齢で結婚できなかったか、合掌。といわんばかりの風貌のおっさんが多い。そんなおっさんたちはアイドルを娘のように可愛がりその成長を見届けている。自分が投資したお金で、応援しているアイドルが有名になってくれればいいと、完全にアイドルの銀行と化している人も多い。おっさんも前述の若者同様、可愛い女の子に優しい対応をされたら一瞬でのめりこんでしまう。それはやっぱりこのおっさんたちも若者時代には持てなかった部類の人達であり、その当時のストレスをアイドルに対してぶつけているからなのかもしれない。

 こうした傾向があるので、アイドルはファンに対しては従順であることが求められる。握手会やチェキ会、もしくはSNS等の絡みで、気持ち悪い言動を目の当たりにすることは多々あるとは思うが、それをさらりと受け流せるプロフェッショナル性がアイドルには求められる。それに逐一反応して炎上するような人はアイドルになることは出来ないわけである。また、いくら普段性格が悪くても、アイドルとして仕事をする以上は純粋さを保つべきである。それは、ファンのキモヲタは純粋な女の子しか知らないからであり、もしも男と繋がっているというような事実が発覚すれば、それは現実世界同様にリア充に女の子を取られたという、純粋なヲタにとっては大変ショッキングな出来事になってしまう。それにより、現実に引き戻されたかのように冷めてしまう可能性もあるから注意をしたほうが良い。キモヲタに対して純粋な態度で接するということは、大変高い精神能力が求められるが、これはアイドルとして活動していく上では最も重要な能力であり、それに耐えうるメンタル、または演技力を身に付ければ、アイドルが皆目指しているとも言っていい役者さんへの土台にも繋がっていくのである。何故アイドルが皆役者を目指すのかというのは、実はこのファンに対する従順さを日頃から演じているところに起因しているのではないかと僕は考えている。アイドル運営をする上ではこのファンに対する従順さというのは絶対条件として身に付けてもらわないといけない。最近某アプリ等で、ファンの方の質問に対してバッサリと答えていく傾向があるけれども、これはアカン傾向だと僕は考えている。自分から日頃演技するということを辞めるという行為は、アイドルを辞めることと同義と捉えてもいい。いくらSNSであろうと、そっけない態度を取られればファンも冷めてしまう。多くの質問を受け、大変だとは思うが、そこは仕事と割り切って、スマホの前の顔はキレていても、冷静にフリックをしていて欲しいところである。

 

・ドキュメンタリー

 アイドルの魅力はアイドル自身の成長ストーリーの提供であるということはもはや多くのアイドルファンにとって共通認識となっている。アイドルが結成したその瞬間からドキュメンタリーはスタートしていると言っても良い。若い、小さな少女たちの成長は目覚ましいものがあり、大人たちの成長の比にならない。これは48グループも行っている手法ではあるが、結成から様々なシーン、特に華々しい舞台の裏側にあった苦悩の日々はカメラに収めておくべきである。これは、後々重要なコンテンツとして重宝されることになるのである。基本的に多くの人々は感情のために、もっと言えば脳内物質のためにお金を払っているとも言っていい。というかそのために生きていると言っても過言ではない。だから、感情に訴えかけるような情動的な情報というものは、人間にとっては重要な情報として位置付けられやすいのである。アイドル運営側としては、どんどんファンの感情を揺さぶるようなことをしていかなければならない。一緒に驚いて、一緒に笑って、一緒に泣けるような、そんなサービスを提供して行かなければならない。こうした意味でドキュメンタリーというのは大きな意味を成すのである。映画化とまではいかなくていいけれども、映像化して定期的にファンに裏側の苦悩、努力を見せることでファンの感情を揺さぶり、よりそのアイドルを応援する気持ちを高めてもらうことがアイドル運営の成功に繋がっていく。一気に成長していく少女たちの日常は一日一日がコンテンツである。二度とみられないその貴重な成長ぶりを見逃さずに、サービスに転換していく技術が運営には求められるのである。

 

・良質な楽曲の提供

 ヲタクはメンバー選考の部分でも触れたように、アイドルに対して歌唱力やダンス能力のレベルは求めないけれども、楽曲の良さ(=ノリが良いか悪いか)については結構敏感な生き物である。というのも、ヲタはライブ中MIXと呼ばれる気持ち悪い掛け声を、普段コミュ障なのにも関わらず、集団心理により大声で叫んでいるが、このMIXを打つうえでその曲のノリの良さというのは大変重要になってくる。余りにも音楽性が高すぎて、クラシックのような高尚な音楽を提供してしまうと、どんな曲に対してもMIXを打つ意外とリズム感の良いヲタ達もどうやってノっていいものか全く分からなくなってしまう。だから、楽曲はなるべく分かりやすくポップな曲のほうが良い。そしてそういう曲の方が万人受けしやすく、売れやすいという側面もある。僕自身も最近のアイドル楽曲のポップさは好きで、正直僕は楽曲からアイドルのファンになっていった。ちなみに僕が一番好きなアイドル曲は「Believe in Yourself !」である。

 

とまあ、ここまでダラダラと書いてきたのだが(本当はアイドル自身も歌詞を書くべきとか書きたかったけど疲れたので)、まとめると、選択肢を多く提供できるようなメンバー選考を行い、CD商法を行いつつ、ファンへの従順さを大事にして、時にはドキュメンタリーで弱い部分を見せながらも、良い楽曲と共にはつらつとライブを行えばアイドルとしての基本は全て押さえたことになる。アイドルが売れないのは以上の基本を守れていないか、運が無いかのどちらかである。これらは全てアイドルの基本事項であり、グループの違いはコンセプトの違いでしかない。アイドルはみな同じことをしているのである。こうしたことはおそらくアイドル業界では、既にマニュアル化されて出回っているような気がする。優秀な人間はすでに売れるアイドルの共通事項を見出し、マニュアル化し、売りさばいているだろう。AKBも独自の運営ノウハウを既に体系化していると思う。僕は一ファンとして、そしてアイドル運営の一助になってほしいという思いでこのブログを書いた。僕のブログにはここまでコメントがないので、ぜひこの記事に対しては皆さんの意見をお聞きしたいところである。ここで書いたことは今までのアイドルの傾向であり、これからはここに記されたことを超越したサービスを提供するアイドルも出てくるかもしれない。今後のアイドル業界も本当に目が離せない。

 

2015年10月現在、僕はすっかりPiiiiiiiNのヲタクとなり、元気に活動を続けている。孤独にヲタクをしてた昨年よりかは何人か知り合いになれたヲタクもいて、楽しくドルヲタをしている。今振り返ってみると意外とピーンはこの記事の重要事項を押さえているなあと感じる。paletしか知らず、孤独にアイドルとヲタクを観察していた時代に書いたこの記事も割とまともなことを書いているのかもしれない。この記事ではヲタクを軽蔑するような書き方をしているが、一応客観的な立場から意見を述べているだけで、この記事に書いたようなヲタクが僕だし、そんなヲタクのことを僕はむしろ好きである。まあ、とにかくこの記事から今日この日までドルヲタをしているとは夢にも思わなかった。でも、ドルヲタをすることで明らかに人生が充実しているし、単純に楽しくなっている。僕はもう少しドルヲタを続けるのかもしれない、大好きなPiiiiiiiNと共に…